
大人のワクチンについて
風疹ワクチン
風疹は風疹ウイルスによって感染・発症しますが、症状としては風邪症状や耳のうしろ付近のリンパ節の腫れ、皮疹や関節痛が代表的です。しかしこれらの症状が全て揃うことは珍しく、通常は発疹で気づかれることが多い病気です。
軽症が大部分ですが、脳炎などの合併症も時に生じうるため、経過には注意が必要です。
また妊婦が風疹ウイルスにかかると、先天性風疹症候群を発症し、出生時に先天性白内障や緑内障・先天性心疾患・難聴を生じる事があり、風疹は合併症と先天性風疹症候群の2点が注意すべきポイントになります。
幼少期に麻疹とともにワクチン接種を受けている方が多いのですが、接種忘れや、接種されていても時間経過で抗体が低下することによって、成人になってから感染してしまう事があります。
血液検査で抗体を調べることでワクチン追加接種の必要性を判断出来ます。しかしながら十分にワクチン定期接種を受ける体制が出来ていない世代の方(1962~1989年生まれの男性・1979~1989年生まれの女性)は追加接種を必要とすることが多いです。
風疹の免疫をつけることは、これから生まれてくるお子様を守るため、また国内での流行を防ぐために大切です。
なお風疹ワクチン接種に当たっては、妊娠中の接種が出来ない事、また接種後2ヶ月間避妊を要する事にご留意下さい。
麻疹ワクチン
麻疹は麻疹ウイルスによって生じるウイルス感染症です。通常鼻汁やくしゃみ、咳といった風邪症状で発症しますが、これらの症状が出てから3~4日後に発疹が出現します。
麻疹と診断された場合に注意すべきは、脳炎と肺炎の合併です。
2015年3月WHOより日本が麻疹排除状態にあると認定されましたが、麻疹は空気感染で感染力が非常に強いため、数年に一度集団感染が見られます。
風疹と同様に血液検査で抗体を調べることでワクチン接種の目安になりますので、気になる方はご確認下さい。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水ぶくれを伴う赤い発疹が顔や体幹に帯状に出る病気です。
「ぴりぴり」「ちくちく」「ずきずき」とした強い痛みを伴い、3~4週間ほど続くことがあります。
原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」というヘルペスウイルスの一種で、日本人の9割以上が既に感染しています。つまり、ほとんどの人が帯状疱疹になる可能性を持っています。
このウイルスに初めて感染した時は「みずぼうそう」として発症し、治った後もウイルスは体内に潜伏します。通常は免疫力によって抑えられていますが、加齢・ストレス・糖尿病・腎臓病・ステロイド使用などにより免疫力が低下すると、再び活性化し帯状疱疹として発症します。発症者の7割以上が50歳以上といわれています。
日本では80歳までに約3人に1人が帯状疱疹にかかるとされ、特別な病気ではありません。日々元気に過ごされている方でも、体調の変化をきっかけに発症することがあります。
治療としては抗ウイルス薬を使用しますが、皮膚症状が治った後も「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが長期間残ることがあり、約2割の方が経験するとされています。
帯状疱疹ワクチンについて
2016年3月より、帯状疱疹の発症予防のために50歳以上の方を対象にワクチン接種が可能となりました。
当院では以下の2種類のワクチンを取り扱っています。
- 水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)
- 1回接種 8,000円
- 発症リスクを50~70%低下させるとされ、効果は5〜8年程度持続すると考えられています。
- シングリックス(不活化ワクチン)
- 2回接種(2か月間隔)
- 1回あたり 21,000円(合計42,000円)
- 発症リスク低下は約90%、効果は10年以上持続するとされています。
効果や費用を踏まえて、ご希望に応じたワクチンをお選びいただけます。
2025年4月から定期接種となりました
2025年4月より、帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となりました。
対象は50歳以上の方です。定期接種としては水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)、シングリックス(不活化ワクチン)のいずれも選択できます。
東大阪市にお住まいの方へ
東大阪市では、今年度中に以下の年齢になる方を対象に助成制度が設けられています。
- 助成対象年齢
- 65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上
- 自己負担額
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- 水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン):4,000円(1回接種)
- シングリックス(不活化ワクチン):1回あたり10,000円(合計20,000円)
当院ではいずれのワクチンも接種が可能です。接種ご希望の方は、ワクチンの取り寄せが必要なため、事前にお電話でご予約をお願いいたします。
肺炎球菌ワクチン
超高齢社会の日本において、死亡理由として一番思いつきやすいのは「がんによる死亡」かもしれません。
しかし、実は肺炎による死亡はがんや心疾患、老衰などに引き続き、少なくない死亡理由なのです。
肺炎による入院は65歳を超えると急に増えることが調査から分かっており、今お元気な方であっても予防を行う意識はとても大切です。
一口に肺炎といっても、原因菌やウイルスは多岐に渡ります。その中でも原因菌の30%を占めるのが、「肺炎球菌」と呼ばれる細菌です。ワクチンによって肺炎の全ての原因をカバーできるわけではありませんが、肺炎の重症化予防にはワクチンがある程度有効です。」
日本では、2014年10月より65歳以上の方を対象に肺炎球菌ワクチンの1種であるPPSV23(ニューモバックス)が定期接種となり、現在は65歳になられた方を対象にワクチン接種費用の助成が受けられます(ハガキが届きます)。
また、2025年10月末より肺炎球菌ワクチンの内PCV21(キャップバックス)も65歳以上の成人に任意接種が可能となりました。このワクチンは、高齢者の肺炎の原因となりやすい多くの肺炎球菌の型をカバーしており、これまでのワクチンと同程度に安全性が確認されています。また日本のデータでも、現在流行している肺炎球菌に高い予防効果が期待できるとされています。
PCV21(キャップバックス)は自費(任意接種)にはなりますが、「より広く肺炎を予防したい」「重症肺炎をできるだけ防ぎたい」方には、有効な選択肢です。
<引用文献>
- 厚生労働省 令和6年人口動態統計月報年計(概数)の概況
- 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 (第7版 2025年9月30日)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討WG委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)
子宮頸がんは、日本で毎年約1.1万人の女性がかかる病気で、毎年約2,800人が亡くなる疾患です。早期に発見できたとしても、治療によって体に負担がかかり、子宮を失ったり妊娠できなくなったりしてしまう人も年間約1,200人おられます。
子宮頸がんの95%はHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因とされ、主に性交渉で感染し、女性の80%が生涯に一度はHPVに感染するといわれています。
HPVワクチンは、性交渉前に接種を行うことで、HPVに感染することを防ぎ、子宮頸がんの発症予防に効果的です。
2013年6月から、積極的勧奨が一時的に控えられていましたが、2021年11月より勧奨が再開されました。
当院では、HPVワクチンとしてシルガード9を採用しています。
HPVにはいくつかの型がありますが、シルガード9は子宮頸がんの80~90%を占める7つのHPVをカバーしています。
小学校6年生~高校1年生の女性が定期接種(無料接種)の対象となりますが、年齢によって接種スケジュールが異なりますので、ご確認ください。
また、2025年8月よりシルガード9が9歳以上の男性にも接種可能となりました。男性がHPVに感染すると、ウイルスの多くは自然に排出されますが、一部の人はウイルスが自然に排出されず持続的に感染し、肛門がんを発症する可能性があります。また、性器周辺にイボができる尖圭コンジローマを引き起こす可能性もあります。女性に対しては主に子宮頸がんを予防する目的で、HPVワクチンの定期接種が行われていますが、HPVは男女ともにがんや疾患を引き起こすため、男性もワクチン接種で予防することが重要です。男性がHPVワクチンを接種することにより、自身のHPV感染を予防するだけでなく、大切なパートナーへの感染を予防することができます。
<引用文献>
RSVワクチン
RSウイルスは、乳児期に発症の多い急性呼吸器感染症です。1歳未満、特に6か月未満の乳児や心肺に基礎疾患を持っている小児、早産児が感染すると、呼吸困難など重篤な呼吸器疾患を引き起こします。
成人が感染した場合、ほとんどの場合風邪症状を起こすだけですが、RSVに感染されたお子さんを看護された場合、大量のRSウイルスに暴露されるため、より重症になることがあります。特に高齢な方、持病のある方にとっては重要なウイルスですが、これまで有効なワクチンがないことが問題でした。
RSVワクチン(アレックスビー)は、60歳以上の方を対象に接種が可能なワクチンです。
RSウイルスによる下気道症状・下気道徴候(「下」気道症状とは、イメージとしては肺炎に近い状態です。酸素が必要になる程の呼吸苦や息苦しさ、呼吸した際の「ゼイゼイした感じ」を表します)の発現を予防する効果があります。
60歳以上の方に対して82.58%の有効性があり、非常に有効なワクチンです。
特に、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」「気管支喘息」「慢性呼吸器・肺疾患」「糖尿病」「慢性心不全」「進行した肝疾患、腎疾患」を持っている方に対しては、94.61%の有効性があり、持病のある方の感染症予防の観点からは強力なワクチンと考えられます。
副反応についてはほかのワクチン同様、注射部位の痛み・赤み・腫れ、発熱や筋肉痛、疲労感などが生じる可能性があります。
高額なワクチンになりますが、接種をご検討の方は取り寄せいたしますので、事前にご予約をお願いいたします。
<引用文献>
- 厚生労働省 RSウイルス感染症
- 国立感染症研究所 RSウイルス感染症とは
- GSK アレックスビー 臨床成績





